第8~10回心理学研究室セミナー(12月1, 2, 15日開催) 2011年11月21日


文学部心理学研究室では,第8,9,10回心理学研究室セミナーとして以下のような講演会を開催しますので,ふるってご参加下さい。なお,講演内容は大学院生以上を想定しております。


第8回心理学研究室セミナー

日時:2011年12月1日(木) 午後5時から
場所:法文1号館1階 113教室

【講師】 西田眞也先生(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
【演題】 視覚情報の分離と統合の論理

【要旨】 視覚系は色,形,運動といった異なる属性を別々に処理していると考えられてきたが,実はこれらの属性の処理は比較的初期段階から密接に結びついている。このことを,運動情報が形や色の情報処理に与える影響を中心に説明する。また,異なる属性の統合(バインディング)において,空間的な一致だけではなく時間的な一致が重要な手がかりとなっていることを説明し,そのメカニズムを推論する。


第9回心理学研究室セミナー

日時:2011年12月2日(金) 午後5時から
場所:法文1号館3階 312教室

【講師】 今水 寛先生((独)情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター / ATR認知機構研究所)
【演題】 運動学習の脳科学とその応用

【要旨】 私たちは目や耳などの感覚器官から外部世界の情報を取り込み,脳で適切な情報処理を行い,運動器官を操作して外部世界に働きかけています.目の前にあるものに手を伸ばすとき,どの筋肉をどれくらい収縮させるかなどと考えなくても,一瞬で正確に手を伸ばすことができます.そのようなことが可能であるのは,感覚情報と運動情報の結びつきを,長い時間をかけて学習・記憶しているからと考えられます.このような学習を可能にする脳の仕組みを,実験心理学,計算理論,脳活動計測の手法を組み合わせて調べた一連の研究についてお話しします.また,運動に関連する脳活動計測の社会応用として,現在取り組んでいるブレインマシン・インターフェースとニューロフィードバックの研究を紹介します.


第10回心理学研究室セミナー

日時:2011年12月15日(木) 午後5時から
場所:法文1号館1階 113教室

【講師】 筒井健一郎先生(東北大学)
【演題】 前頭連合野とカテゴリに基づく行動選択

 

【要旨】 刺激や行為とそれがもたらす結果の関係を学習する能力は,適応行動の基礎となっている。とくに,ヒトやその他の高等動物は,経験した刺激-行為-結果の関係を,そのままのかたちで学習するのではなく,同じ結果に結びつく刺激(あるいは行為)を,その等価性にもとづいてグループ化し,個別の経験から得られた情報を一般化して蓄積することによって,学習・記憶リソース利用の効率化をはかっている(機能的カテゴリ化)。さらに,カテゴリ化の効用はそれだけではなく,一般化されて知識となった情報を,類似の新しい場面に適用することによって,適応行動の柔軟性を実現できる。本研究では,カテゴリに基づく情報表現や,それに基づく行動選択が,脳内でどのように実現されているかを調べるため,カテゴリ表現に基づいて行動を選択させる課題を新たに考案し,サルが課題を遂行している間に前頭連合野から単一ニューロン活動の記録を行った。
 記録されたニューロンの刺激呈示期間の活動を分析すると,1)刺激と連合している結果に関係なく,常に特定のカテゴリに属する刺激に強い反応を示し,カテゴリをコードしていると考えられるニューロン,2)特定のカテゴリに属する刺激が特定の結果と連合しているときに強い反応を示し,カテゴリと結果の連合をコードしていると考えられるニューロン,3)どのような刺激でもそれが特定の結果に連合しているときに強い反応を示し,カテゴリを超えて,刺激から予期される結果をコードしていると考えられるニューロン,が見つかった。これらの結果を基に,与えられた視覚刺激をカテゴリ的に認識し,それを基に適切な行動を選択する,前頭連合野内のニューロン結合のモデルを構築することができた。本研究の結果は,前頭連合野が,カテゴリの知識を基に適切な行動を選択したり,その行動の結果を予測したりすることに,重要な役割を果たしていることを示している。