第11,12回心理学研究室セミナー(5月24日,6月7日開催) 2012年5月9日


文学部心理学研究室では,第11,12回心理学研究室セミナーとして以下のような講演会を開催しますので,ふるってご参加下さい。なお,講演内容は大学院生以上を想定しております。


第11回心理学研究室セミナー

日時:2012年5月24日(木) 午後5時から
場所:法文1号館2階 212教室

【講師】 神谷之康先生(ATR脳情報研究所)
【演題】 脳の暗号を解読する

【要旨】 「脳から心を読む機械」は古くからフィクションに登場しますが,その可能性が神経科学の議論の対象となったのは,ごく最近のことです.脳の信号は心の状態や行動をコード化している「暗号」と見なすことができます.そして,その暗号を解読(「デコード」)することが脳から心を読むことにつながります.しかし,脳の信号は非常に複雑なパターンをもっていて,人が目で見ただけでその意味を理解するのは一般に困難です.そこでわれわれは,機械学習と呼ばれるコンピュータ・サイエンスの手法を取り入れ,コンピュータに脳活動信号の「パターン認識」を行わせて脳の信号をデコードするアプローチを提唱しました.私の研究室では,現在,身体や心の状態に関するさまざまな情報を脳信号パターンからデコードする方法の開発を進めています.本講演では,人が見ているものを脳活動パターンからデコードする方法を中心に紹介しながら,ブレイン-マシン・インターフェースや情報通信への応用など,この技術の可能性について議論します.


第12回心理学研究室セミナー

日時:2012年6月7日(木) 午後5時から
場所:法文1号館2階 212教室

【講師】 熊田孝恒先生(理化学研究所 脳科学総合研究センター)
【演題】 情報選択や行動選択における前頭葉の働き:認知神経心理学からのアプローチ

【要旨】 ここ数十年の認知心理学の研究から,注意機能,ワーキングメモリ,反応選択など,我々の認知機能を形成するモジュールに関する知見が蓄積されてきている。一方,これらの認知モジュールがどのように統制され,日常生活にみられる複雑な認知行動が生成されているかについては,まだ十分な研究が行われているとは言い難い。前頭葉を損傷すると,個々の認知機能は正常であってもそれらをコントロールすることができず,情報の選択や行動の選択にさまざまな問題が生じることが報告されていることから,前頭葉がモジュールの統制機能の中心を担っていることは疑いの余地はないが,その詳細については未解明の部分が多く残されている。ここでは前頭葉を損傷した方々を対象にして行った認知心理学実験の結果をいくつか紹介し,その対比として健常な人間の認知のメカニズムについて,特に,注意機能と遂行機能に焦点をあてて議論する。脳を媒介にすることによって人間の認知特性の理解がどのように進むのか,実験系心理学者が脳の理解研究にどのような貢献が可能なのかといった,少しメタなレベルからも意見交換ができればと考えている。